しばらく資料収集に専念します。


 すいません、中国で大学図書館を利用できる期間があと一ヶ月を切ったので、資料収集に専念するため、ブログでの資料整理,その他の更新はしばらくお休みします。早ければ7月には再開するかも。

・・・・・・う〜ん、抗日根拠地の整理とか終わってないけど、整理している時間はもう無いし、かといって整理しないと効率よく資料が収集できないのですが・・・・・・。


 で、今、地方史(誌)にいろいろ当たっています。日本で言うと各自治体が編纂している「〜県史」とか「〜村史」とかいうのに当たるものが中国にもあります。中国では大体「〜県志」*1という形態で出ています。
 「史」ではなく「誌」なので地域の歴史中心ではなく産業や行政や教育などの変遷と現状をまとめるのが中心。でも抗日戦争時代のことや地域の抗日闘争なども主に「軍事」の項目の中で触れられています。

 普通の抗日&八路軍の研究がわりと広域での活動をまとめて俯瞰的に描くのとは違い、こういう地域史では、あくまでそれぞれの県の中において地元の目線で書くので、読んでいて一般研究書とはまた違う面白さがあります。


 私は華北八路軍と民衆の抗日闘争のことについて調べたいので、主に山西省山東省,河北省,河南省の中にある各地域(県)のを中心に読んでいるのですが、各地域ごとに抗日闘争について記述する姿勢に違いが見れて面白いです。


例えば


山西省→そこそこ。
河北省→やる気に満ち溢れている。
山東省&河南省→やる気なし。


といった具合に(※抗日闘争の記述に対する姿勢の話で、当時の抗日闘争への態度の問題ではありません)。


 山西省の各県は、だいたい「軍事」の項目の中に数ページくらいの割合で書いています。
 それに比べて河北省の各県はやる気に満ち溢れているのか「軍事」の項目とは別個に「抗日闘争」専用の項目を作っている所が多くて、しかも多いところでは100ページ以上も費やして語ることも。その内容も地域の抗日闘争の歴史や闘争の手段,個人の経験談,各戦役や日本軍の残虐行為が、細やかにかつ身近に感じられるよう描かれているのは地域史ならではのものでしょう。それでいてとてもよくまとまっているものが多いです。歴史の資料としてもけっこう使えます。河北省、侮れない・・・・・・。
 ・・・それと反対なのが山東省と河南省・・・。だいたいが「軍事」の項目の中にいくつかの戦役の話か八路軍の何々部隊が駐屯していた、という程度のことを箇条書きっぽく1〜2ページで書いているだけ・・・・・・。河北省の『県誌』を読んだ後、「地域誌ってこんなにレベル高いのかぁ〜」と思って、山東と河南に当たるとがっかりします。


 でもこれは私が悪いのかもしれません。山西と河北については、だいたい抗日根拠地の様子をまとめ終わっているため、どの地域が抗日闘争が盛んであったかある程度把握しており、その地域の「県誌」を中心に当たっていました。
 でも山東と河南はほとんど手をつけていないので、適当に探していたのです。なのでたまたまあんまり抗日闘争が盛んではない地域のばかり読んでしまっただけかもしれません。


 やっぱり情報の整理は大事だなぁ・・・・・・。


 なにはともあれ、全国的全体的なことよりも、抗日闘争を戦った八路軍兵士や民衆の一人一人の経験を知りたい私としては、こういうミクロ視点の「地方誌」はありがたいものです。

*1:中国の行政単位は、省→市→県→鎮