地方志に見る抗日戦争(2)

 なかなか更新できないが、まあ、マイペースでやっていくつもりです。
 
 
さて、「地方志」の視点から抗日戦争の姿を見ていきたく思い、華北四省(山西、山東、河北、河南)から各省二県づつピックアップして資料を収集した。
 一つの省には60〜100の県が存在するのだが、その中からどういう基準で2つの県を選んだかについて。


 まず重要な点は二点。

  1. 抗日闘争がそれなりに行われていたこと(特に八路軍もしくは共産党系の部隊の活動があること)
  2. 「地方志」に抗日戦争時代の記述や資料がそれなりに充実していること


 なので、日本軍の支配が徹底していて、実質党組織の地下活動しか行われていないような太原(山西省)や済南(河南省)などの都市は除外。県の上位に位置する「市志」か調査対象から除外することとする。
 また、国民党系の部隊しか活動していない地域も私の研究対象から外れるので除外。なお共産党系だが、新四軍系の部隊しかいない地域も除外した。
 特筆することがないのか、編纂委員がいい加減なのか、抗日戦争時代の記述が少ない「県志」の県も除外。


 その上で、以下の点に注目して2県選んだ。

・1県目→特別であること
その省の抗日闘争において特に指導的な立場にあった。歴史的に重要あるいは個性的な闘争が行われた地域。つまり「特徴があること」を重視。
・2県目→典型的であること
指導的な立場になく、特に重要な事件も起こっていないが、抗日闘争が続けられ、資料も充実している県。当該地域では典型的な抗日闘争が行われていたと思われ、普遍化することができる。つまり「特徴がないこと」を重視。


 歴史的闘争的に重要な地域の抗日史は華々しく資料も充実しているが、そのような地域ばかり選んでいては偏りが生じるであろう。
 「典型的」な県はチョイスが難しいが、棚からランダム(例えば7月なので左から7番目にあった「県志」とか)に取り出し、これはと思うものを選んだ。


 また「県」レベルばかりではいけないので、「村志」で良いものがあれば使用した。
 漢族の多い地域ばかりを取り上げるのも偏りがあるので、「回族自治権」なども取り上げたかったが、いかんせんそれらはあまり資料が充実しておらず、断念するしかなかった。

 以上を踏まえた上で、チョイスした8地域(4省×2)について次回紹介する。